過去の記憶を失くした世界。25年以上まえのあらゆる記憶が、すっぽりと抜け落ちている。それでも生活は、経済は回る。そんな何処か都合のいい集団記憶喪失。それから、世界を覆う不吉な霧。
25歳の主人公は、それらに疑問を抱きながらも具体的な行動に走ることもできず、ただ自分には何かができるような、そんな妄想だけを抱いて、だらだらとフリーター生活を続けている。
そんな青年にとって、日々に見る不思議な世界の夢はささいな心の支えだった。大切で、確かなぬくもりだった。やがてその世界にも霧の影が魔の手を伸ばし始めるとき、青年はひとりの少女と出会う。
それは、青年にとって、世界の意味が変る出会いになる。青年にとって、不思議な夢も、つまらない現実も、ようやく意味をもったひとつの世界につながっていく。
ライフワーク、みたいなものです。諸事情あって、不定期連載に移行しました。