青いブレスレット

聞かせて

『でさー!美奈のやつ怒るんだぜ!?』

「うん」

『もう付き合ってられないだって!訳わかんなくね!?』

「…うん」

『だからさあ、俺もお前みたいな女願い下げだって言ってやってさあ』

「………うん」

『そんで次の日、別の男と歩いてんの。絶対あいつビッチだよな!!』

「………そうだね」

『そうそう、それで奈穂ちゃんて子とメアド交換してさあ…』

「うるせーな!時間に遅れるって言ってんだろーが!!!」



涼しくなって、長袖を着るようになった11月。

目的地の近くに約束の30分前には着いてたのに、俺は友達からの電話で足止めを食らっていた。


『もー、雪川と付き合ってから水原冷てーなー』

「そんなことないだろ」




今日は初めて、雪川さんの家に遊びに行く日。

かなり緊張していて、正直西野と電話してる余裕なんかなかった。



『でも水原、雪川と付き合ってから変わったよな。俺は安心したよ』

「?何が?」

『なんか、恋を知ったってかんじ??』


西野が言う。

…絶対電話の向こうでニヤニヤしてる。



「じゃあな」



俺は一方的に電話を切った。

時計を見ると………


もう12時58分!?



やばい、このままだと1時に間に合わない。

西野のやつ………!


俺は携帯の地図を見ながら急いで走った。
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