青いブレスレット
「紗奈、返事聞かせて」



このまま中谷とよりを戻せば、さみしくなるなるかな。


水原くんを思い出すこともなくなるかな。



「わ、わたし…」


言いかけて、そのあとのセリフが浮かばない。


わたしは、何を言おうとしたんだろう?



「…あいつのこと、まだ好きなんだな」



中谷の言葉にはっとした。


それが、わたしの言おうとした言葉…?



中谷はわたしを放した。

そして、真剣な顔でじっとわたしを見た。



「いいよ、紗奈が忘れるまで、俺はずっと待ってる」



…意味が分からない。


なんで?

中谷、こんなキャラじゃなかったじゃん……。




「行こ」




また中谷に手を引かれて歩き出した。

あったかい。



付き合ってる頃は一度だって見たことがなかった、中谷の真剣な顔。


今更だけど、本当にわたしのこと、好きになってくれたんだ。



水原くんへの気持ちを忘れるまで待ってくれるとまで言ってくれた。



真剣なんだ。



わたしも真剣に考えなきゃ。




なのに…わたしは最低だ。



今わたしを引く手が、水原くんの手ならいいのにって、思ってしまったから。
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