極道のみち
出逢い


街の中、一人で歩く私の横を

お腹の大きい女のひとが

通りすぎた。


雪がとけたばかりの

天気のいい空のした

私は、足を止めて

そのお腹を見つめた。





泣きたくなるほどの

気持ちを抑えた。


家について引き出しからだしたもの

本当なら私のお腹も

大きくなっているはずだった。






この子と約束したことは

高校を卒業して、

自分の夢をかなえること。




これが私がこの子にできる

唯一の報いだった。



思い出すたび泣いていた。



あれから、1年と何ヵ月か

経った。



< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop