天神楽の鳴き声
色無しとはこの宮に入りまだ日が浅い者を示す。
雛生は十の頃に宮に入り、三年の月日が経とうとしていた。

宮に入り、三年が経つと、同じ頃に宮に入った者達の色決めが行われる。
やっとそこで一人前と認められるのだ。


「今日の練習はここまでとします。明日は祭壇にて色決めですので、遅れないように」
「はい」


雛生は肩で息をしながら返事をする。游先生は優雅に一礼し、藍の衣の裾を翻しながら去っていく。

「相変わらす厳しいよなぁ…」
男子もかなり大変らしく、ぜぇぜぇと息をしている。天神楽の決定は誰にも予測できない、そのため、男子も練習を怠ることは許されない。どの色でも適応するため受けなければならない。

とは言っても、舞が必要になるのは、紅に選ばれた者くらいで選ばれる比率的には女子が多い、ちなみにこの逆で武術が必要な蒼の比率は男子のほうが多い。


「はい、ひーちゃん、飲み物」
「ありがと、胡兎(コト)」

さらさらで真っ直ぐな栗色の髪。愛らしさの象徴とも言える丸くて大きな目がこちらを見る。桃色の着物が似合う可愛らしい子だ。
胡兎が持ってきた飲み物を飲み干すと、からからに渇いた喉が潤う。
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