天神楽の鳴き声
空は気が遠くなりそうなほど青く澄み。
空平は、薄桃の花を手に取った。

「花梨…」

花を見ると、思い出すんだ。あの日も、君は笑ってたこと。

名も知らないその薄桃の花は、風を受け、散ってゆく。

「ごめん、」

その誰に向けたわけでもない謝罪は、誰の心にも届く筈もなく。

強い風が一陣通り抜けた。その風が何もかも奪ってしまうのではないかと思った。


―…
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