andante

追いつけないことはわかってた







「比菜ちゃん。」






帰り道。
二人で肩を並べながら歩いていると、優ちゃんがわたしを呼んだ。



「…なに?」



ちらっと優ちゃんに視線を向ければ、彼は少しだけ笑みを浮かべていた。



「また、会えるかな?」



相変わらず雪は降る。
二人で傘に入るにはやっぱり傘は小さくて。



優ちゃんの肩は雪で濡れている。




意味深にも聞こえた優ちゃんの一言にわたしは鼓動が速くなるのを感じた。




……またどこかへ行っちゃうの?




そんな、気がして。




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