不思議の国の俺。

身分

「……お茶が入ったわ…」

テーブルの上に人数分の

ハーブティーが

置かれる。

…何故か俺は今、質問攻めにあっている。

「……ケンジ君。
君は……穴から落ちて来たんだね?」

「え…あ、はい…。」

かなりシリアスな聞き方。

そして、年上の男性となれば、

ついつい敬語になってしまう。

「困ったな…。
実は、この国には、
『身分の違い』があるんだ。」

「へ?身分?」

「その、『人間の耳』は、
王族の証。
…見た目が獣に近くなるほど、
身分は低くなる。
………つまりだ。
君は、このままでは、国の兵に
捕まる…。二度と君の世界に
戻ることは出来ない。」

え、でも、トランプの母さんは…


ガシャン。

陶器の割れる音。

目をやると、

トランプのティーカップが

割れていた。それよりも、

目が行ったのは、トランプが


……泣いていたことだった。

「く…うっ…お母様ぁ…」

声を必死に押し殺そうとしているが

その辛そうな表情が、

全てを物語っていた。










トランプの母親アリスは…


子を成した後、


城へ連れて行かれた。
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