オレ様専務を24時間 護衛する

希和side




L字の形をしたテラスの端で

心の底から満喫できる、久しぶりの休日。


相変わらず、朱夏の口からは『男』の話題ばかり。


恋愛経験低レベルの私にとって、

相槌を打つのがやっとなのだが、

話自体は意外にも面白い。



戦略企画部の後輩のイケメン君からアプローチを受けたそうで、

『飲みに行きませんか?』

『映画のチケットが手に入って……』

『夏ももうそろそろ終わりだし、海に行きましょうよ』


事あるごとに誘われるらしい。


だが、魔性の女(朱夏)は、

その度に『いいねぇ~』『本当~?』『行きたぁ~い』と、

如何にも好意を持っている素振りを示しておき、

けれど、その直前になると……。

『ごめんねぇ~』『本当に申し訳ないんだけど…』などと

それはそれは申し訳なく&残念そうに断るらしい。


すると、その彼はおバカなのか、単純なのか、

朱夏の言葉を真に受けて闘志を燃やし、

『次こそは!!』と恋の炎を燃やすんだとか……。


所謂、これが『焦らし』というやつだろう。


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