「今日、健の引越しの手伝い頼める?」

彼の言葉に私は勿論、と頷いた。

「雑巾と洗剤と」

「ちゃんとハウスクリーニングしたみたいだけど」

「駄目だよ。一応拭いておかないと。引っ越し業者も入ったんでしょ?」

「うん。あ、つまみとビール買っていい?」

ふたりは彼氏の友人、健のマンション近くのコンビニにいる。

必要な物を買い、マンションのインターフォンを鳴らすと、待ちかねたように健が出迎えた。

「来てくれてありがとな、紅ちゃんも」

「いいよ。暇だったし」

私が笑うと、彼氏も同様に頷いた。
健が申し訳なさそうな顔をしたけれど。

「じゃあ掃除から始めようか」

私が言うと、ふたりは「え!?」と驚く。