わらって、すきっていって。

後夜祭から少したって、わたしの気持ちがずいぶん落ち着いたころ。えっちゃんにはいままでにあったことを全部話した。まだ整理がつききらず、支離滅裂な言葉を並べるわたしの話を、彼女は真剣な顔で聞いてくれた。

彼女は思ったより全然怒らなかった。それどころか『本城もいろいろ大変なやつなんだね』なんて眉を下げて言うんだから、正直ちょっと驚き。


ただ、やっぱりまだ、本城くんとはなにも話せていない。

言えないよ。あんなふうにこっぱみじんに玉砕したのに、なにもなかったようにオハヨウなんて。

彼も、文化祭の翌日からは、わたしのほうを見ようともしなくて。ああ本当に振られたんだなあと実感する。あの優しい目も、声も、たぶんもう一生、わたしに向けられることはないんだろうな。


悲しいなあ。失恋って、悲しい。

この、果てのないように思える悲しみを乗り越えられる日が、いつか本当にくるんだろうか。

きっとそんなの無理だって、結構本気で思っていた。このまま一生、わたしは本城くんのことを引きずって生きていくんじゃないかって。

でも、あれから約1か月半がたち、わたしの誕生日が目前に迫るころにはもう、なんとなく心から笑えるようになっているんだから、不思議だなあ。

それって、えっちゃんやちーくん、みんなのおかげだ。


「ねえ、もうちょっとで誕生日だね、あんこ。ケーキバイキングでも行こうよ」

「うわ、アリ」

「あーごめん、霧島は誘ってない」

「荻野おまえほんとゆがみねーよな、気持ちいいわ」


いつも通りのふたりを見ていると、わたしの気持ちも晴れやかになっていくみたい。友達の力ってすごいんだ。
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