田園風景の中、果てなく続いて行く道を馬車に揺られて進んで行く。

「あと少しで街に着きます。今日はそこに宿をとります」

揺れに身を任せながらぼんやりと窓の外に目を向けていたリゼに、斜向かいに座る使者の女性が声をかけて来た。

「……はい」

予想していた事だから、大した反応もせずに頷いた。

使者はそれ以上何かを言う事はなく、口を閉ざす。
そして手元の書類に視線を落とすと、リゼなど居ないかの様にそれらを読む事に没頭していった。

真面目そのものといった使者の女性を、リゼはさり気なく観察した。

年はリゼより10才は上に見える。
濃紺を基調とした衣装を身にまとい、黒く長い髪をきっちりとまとめ上げている。

名前は確か……ソフィアと言っていた。

リゼと同じ馬車に乗ってる事からも、王宮からの迎えの使者達の内で一番立場が上だと思われた。

何か質問するなら彼女が適任だと思う。

けれど、ソフィアから発せられる固く厳しい雰囲気が、気安く質問する事を躊躇わせた。

「……」

結局諦めて何も言わずに再び窓の外に目を向けようとした。

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