島田さんの誘いを断るダシに使われたのはわかってる。
だけど今、私との状況なんか関係ない態度の郡司さんに腹が立つ。


二人から見えない場所まで連れて行かれて。


「……は、なして下さい!!」


少なくとも最低限の協力を果たした後、私は郡司さんの腕を振り払った。
寄り添っていた身体が離れて、郡司さんは私を振り返りながら立ち止まる。


「私、本当に帰ろうとしてたんです。
私をダシに使わなきゃ島田さんの誘い断れなかった訳じゃないでしょ?
……逆に霧沢さんに誤解される方が厄介ですよ」


怒りも混じって、その上あれからずっと気まずかったまま。
私は郡司さんを未だに真っ直ぐ見ることが出来ない。


「霧沢、島田さん狙ってるんだよ。
霧沢はそれなりに仲間だから。
邪険にしてもいけないし、受け入れる訳にもいかないし。
若槻さんがいいタイミングで来てくれて、助かった」


さっきと同じようにスラックスに手を突っ込んで、郡司さんは肩を揺らして笑う。


そんな言葉にがっくりと来る自分がいる。
なんでこの人を心底憎めないのか、自分でも不思議で仕方ない。

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