お昼時に入ったのが幸いした。


濡れた髪は私のハンカチで拭ってもらった。
だけど斑にミルクティーで染まってしまったシャツは、どうすることも出来ない。


かと言ってそのまま笑って許される訳もない。
私は郡司さんとタクシーの後部座席に座っていた。


肩から上着を引っ掛けて、不機嫌全開に黙っている郡司さんを横目で見る。
さすがに何度も頭を下げて謝ったから、罵声はなりを潜めていた。


だけど。


「……あの、どうしてもうちじゃないとダメですか」


無意味な確認だとわかっていても、そう尋ねてしまう。


さっきから何度も同じやり取りを続けたせいか、郡司さんは冷たい視線を私に向けた。


「午後一の訪問先に、俺はミルクティー塗れで行かないといけないの」

「そうじゃなくて。
……郡司さんの家の方が近いですよね?
シャツだって自分の物の方が……」


言いながら、声は尻すぼみになっていく。

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