最愛
*+夏樹+*


「ハァハァハァッ・・・・」

俺は階段を駆け上がる。

ピンポーン

呼び鈴を鳴らしても返事はない。

「今日も、帰ってきてないか」

あの日ゆりのことを見送って以来、1度もゆりに会ってない。

メールは来るけど、特に何か書いてあるわけではなく、普通だった。

「行くか」

初めのうちは全然心配してなかったんだけど。

ここまで長く帰ってこないとなるとやっぱり心配だ。

もっと早くこうするべきだったのかもしれない。

俺はのろのろと立ち上がる。

コツン、コツン

背後からヒールの音がする。

「ゆり?」

俺は期待を込めて振り返るが、ゆりではなかった。

「藍ちゃん・・・・」

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