ファーストラブ
ファーストラブ
卒業してから、中学を訪れたのは初めてだった。

こんなに小さかった?と思えるほど、こじんまりとしたグランド。

石灰のラインが引いてある乾いた土。
一歩一歩懐かしむように、歩く。ゆっくりと。

陸上部だった私は、毎日この線に沿って走っていた。

校内に入る。
独特の土埃に似た薫り。あの頃は毎日この匂いを嗅いでいた。

私は、生徒の少ない放課後に訪れていた。

教室には生徒はおらず、運動部の声が遠く響いている。

私は、手前の教室の扉を開ける。
思ったより小さな机と椅子。
前面には黒板。

なにも変わらない、田舎町の中学校。

今の自分とは全然違う世界。

なんだか寂しさを感じて、彼氏について来てもらえばよかった、と後悔した。
彼氏は同じ大学の生徒だ。
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