ふたりがひとつ
何日経っても、どんな時でも、私は樹が私以外の子と話していると嫌になった。
それでも私は、頑なに恋だとは思わなかった。

自分がおかしいんだ。
わがままなだけなんだ。

そう言い聞かせなくては、イライラして不安定になるほどだった。


だが、ある時仲間であるはずの凜にさえ嫉妬する出来事が起きた。



私達双子は常に一緒にいるせいか、友達と出掛けたり遊ぶ際はセットだった。
友達から見たら、片方だけ誘うということはしづらいに違いない。

だがある日、樹は凜を遊びに誘った。
初めは当然私も一緒だと思って聞いていた。
そして帰宅後にメールで詳細を決めているとき、凜から言われた。

「あ、今樹からメール来たんだけど、たまには2人でってことで、今回は私と樹で遊ぶね。」


私の頭は真っ白になった。
すぐさま独占欲と苛立ちが身体を支配する。

(私を抜かした?何で?樹は私の事が嫌いなの?どうして!?嫌だ!)

手足が冷たくなり、心臓がバクバクいっている。
ただ、これ以上何も聞きたくなくて、私は凜に
「…ふーん。まあ、楽しんでくれば?」
とだけ伝えた。

それから凜と樹が遊ぶ当日までは出来るだけその話題を避けた。
聞けば聞くほど、気分は落ち込み、苛立ち、何かに当たりたくなる。

そして、ようやく私は自覚した。

これは、恋なのだ。
私は樹に恋をしているのだ、と。
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