まほろば【現代編】

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平安時代に隆盛を誇った、陰陽師の二大勢力であった安倍家と賀茂家。

それとは、一線を画す形でひっそりと存続し続けてきた中臣家。

中臣とは、『神と人との間に立って両者を繋ぐもの』という意味がある。

安倍家と賀茂家が天皇のためにあったように、中臣家はその名のとおり、神と人のためにあった。

それを誇りとして他の二家が衰退の一途を辿る中、中臣家は独自の進化を遂げてきていた。

俺はその陰陽道を子供の頃から、祖父(じい)様に仕込まれて育ってきた。

あまりに日常になってたから、それが当たり前だと思っていた。

だけど、物心ついた頃から自分が他の子供たちと違うということに気づきだした。

自分が見えているものが、他の人たちには見えていない。

その事実を理解してからは、極力他の人にそのことを言うのをやめた。

それが他人に気味悪がられることだと悟ったから。

それからというもの、家族以外の前では良い子に徹することにした。

そうすれば、誰からも好かれる。

それが崩れだしたのは、中学の頃から。

正確に言えば、中学三年の遠足のときから。

ハルカとまともに言葉を交わしたのは、きっとあの時が初めて。
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