まほろば【現代編】

ii

そもそも、ハルカを巻き込むことになってしまった原因は、この地の結界が破られたことにある。

太古の昔からこの地は、この国にとって重要な位置を占めてきた。

もちろん、それは正史に載るようなことではなく、密やかに受け継がれてきた闇の歴史とでもいう部分だ。

そして、中臣家はこの地を守護するものとして代々存続してきている。

あの遠足の日を境に、何故だか中臣家が張り巡らしていた結界が緩みだした。

最近まで、どうにか俺一人の力でカバーしてきていたが、高校入学するのと時を同じくして結界は完全にその意味を失った。

原因を探らなくてはいけないと思いつつ、世に放たれてしまった妖を野放しにするわけにもいかず、その時の俺は途方にくれていた。

夜毎の妖怪退治で疲れ果てていた俺は、なんにでもすがりつきたい気分になっていた。
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