For 10 years
おまけ
.


「隼人さんっ!」



約束の10分前に待ち合わせ場所に着いたのに、もうすでに彼女の姿があった。


でもこれは、今日に限らずいつものこと。


そんな彼女に右手を上げながら近付いていく。



「リナちゃんはいつも早いよな」


「ふふ、隼人さんに早く会いたくて、いつも体が走り出しちゃうんです」



笑いながらそう言ったリナちゃんに、トクンと心臓が跳ねた。



リナちゃんとは、今から13年前に職場のファミレスで知り合った。


リナちゃんが高一の時にアルバイトとして入ってきたんだ。


明るくて、いつも笑顔で……


彼女がいるだけで、その場の雰囲気が明るくなったものだ。


それから、一年半くらい経った頃に、初めてリナちゃんから想いを告げられた。
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