ブスも精一杯毎日を生きてるんです。


高層マンションのエントランスには二人がけの赤いソファ。

私は何も考えず、引き寄せられるようにマンションの入り口へ歩き出した。

『…つか…れた……。』

息はもうとっくに切れて、胸が空気を求めて上下する。

タイミングよくエントランスの扉があいて、中から人が出てきた。

酸欠により意識が朦朧としてきた頭で、力が入らなくなった足を引きずりながら、ようやく赤いソファに腰を下ろした。

…これからどうすればいいんだろう。

私には体力もお金も帰る場所も
頼る人も食べる物も何もなかった。

あるのは、十万円の通帳、充電切れのケータイ、借金だけ。

とにかく、何とかしてお金を手にいれよう。

全てはそこからだ。
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