ブスも精一杯毎日を生きてるんです。
「貸せ。」
言葉少なに佐々木が要求した。
どうやら口数の少ないタイプらしい。
『…主語がありません。』
「書類だよ書類。」
少し苛立ったように、腕を動かす。
その動きにあわせて、こげ茶の髪が揺れた。
「払ってきてやるから貸して。」
『そんなすぐ出せるんですか…?』
まさか、会社の金に手をつけるとか。
…それだけは絶対にやめていただきたい。
「心配すんな。先週マカオのカジノで勝った金がまだ手元にある。」
カジノ…。
金もルックスもあれば、運まであるのか。
『…そうですか。ではお願いします。』
考えを巡らせながら、書類を手渡した。
そうか、
こいつは、
お姉ちゃんと同じ人種か。