ブスも精一杯毎日を生きてるんです。


鳴き声と共に足元にまとわりついた小さな毛玉を、振り払ってしまおうか、それとも抱き上げてみようか、晴奈は一瞬迷った。

いや、二瞬 、 三瞬 ぐらいだったかもしれない。

私を好奇心旺盛な青と緑の瞳で見つめているこの子は一体何を望んでいるのだろう。

『どーしたの?』

しゃがみこんで、尋ねてみた。

「ニャーン」

マンチカン、だった。

他の猫と比べて、足が短いのが特徴的。

耳は垂れていて、瞳の色は緑と青。

いわゆるオッドアイというやつだ。

確か、オッドアイの猫は生まれつき青目側の聴力が弱いという話を聞いたことがある。


そうか、この子も私と同じ出来損ないか。

綺麗な毛並みをした猫の頭に手をのせた。

『あなた、私とよく似てるね。』

今会ったばかりのこの猫がとたんに愛しくてたまらなくなった。
< 24 / 97 >

この作品をシェア

pagetop