ブスも精一杯毎日を生きてるんです。


「は?」

さすがに驚いたのか、中年の男が口をあんぐりと開けている。

俺は左手で胸ポケットから名刺を出して男に渡した。

「洋菓子メーカー…?」

「俺は洋菓子メーカーO社の最高経営責任者だ。お前らを雇いたいと思っている。」

自然といつもの話し方に戻っていく。

意味がまだわかっていないポンコツ二人。

「お前らって…俺もですか!?」

今まで黙っていたチンピラが口を開く。

「当たり前だろ。連帯責任だよ。」

「悪い話じゃないだろう?給料も悪くないし、ここより安定してる。お前らは犯罪から足を洗えるしな。」

「ちなみに拒否したら今すぐサツ呼ぶ。」

スマホをポケットから少しだけ覗かせる。

「わかりました。条件を飲みます。」

俺の二倍くらいの年のおっさんが敬語を使い始めた。

これでいい。

年功序列とか時代遅れすぎる。

日本の悪い慣習だ。

「んじゃあ明日7時半には会社こいよ。住所それに書いてあっから。」
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