ブスも精一杯毎日を生きてるんです。


『佐々木…。』

心に刻み込むように、名前を呟いた。

忘れたら、また恥をかくだけだ。

佐々木は頭ぽりぽりとかき、

少し俯いて

「…直哉でいいよ。」

『直哉。』

反復してみる。

「…おう。」

はにかんだような笑顔を見せて、直哉は答えた。

目は三日月型に細まり、

薄い唇から覗かせた綺麗な歯並びがこちらを向いている。

こんな…

こんな笑顔見せられて

好きにならない女なんてこの世にいるわけない。

キュン、とすぼまった胸の動きから察するに

私も例外ではないようだった。
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