【短編】さよなら、先生
お帰りなさい、そしてさようなら
5年ぶりの母校。校庭から聞こえる男子達の声。
懐かしさと期待、そして不安で胸が苦しい。


桜の花びらが舞う中庭を、校舎に向かって一歩、また一歩。
駆け出したいような、あるいは引き返したいような……


ハイヒールを脱ぎ、冷たい床をヒタヒタと歩く。向かうは化学の準備室。この時間、あの人はそこにいるはずだから。


コンコン


大きく息を吐き、扉をノック。


「おお、開いてるぞー」


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