ありがとうと伝えたい
まけないキモチ


仕事が終わると
ゆかちゃんが
私をよびだした。

私はゆかちゃんの
近くにあった
自動販売機で
ジュースを買う。

ゆかちゃんは
ちょこんと座っていた。

「はい!ジュース!今日はありがとう!」

私がジュースをあげると
嬉しそうに顔をあげた。

「うわー!いいんですか?ありがとうございます!」

ゆかちゃんは
笑ってお辞儀した。

私はそんな
ゆかちゃんを
みて幸せな
気持ちになれた。


「ほっんとゆかちゃんかわいいー」

私がいうと
ゆかちゃんは真顔になってつぶやくいった。


「私は…だいきに告白して無理矢理付き合ったようなものなんです…」


「え?そうなの?」

私がびっくりしていうと
ゆかちゃんは苦笑いした。


「だいきって人気じゃないですか?だから結構トラブルとかあったり…取られないうちに付き合ったんです…」


ゆかちゃんは
暗い表情だった。

トラブル?

トラブルって…

「トラブルって喧嘩?」

「え?」

「この間廊下で、喧嘩してたよね?」


その言葉に
ゆかちゃんは
真顔になった。


そしてため息をついた。

「あれは…前カノのことです。だいきいろんなタイプの人と付き合ってて…その人は彼氏いたんですけど、彼氏が嫌でだいきに近づいたんです。それを彼氏にしられて喧嘩になったんです。結局はだいきが勝ちましたけど」

ゆかちゃんは
また深呼吸して
空をみていった。


「私、かなみさんが羨ましいです」

「な、なんで?」

いきなり
言われて私は慌てた。

ゆかちゃんは
私を真っすぐみた。

そしてふっと
笑っていった。


「あんなに楽しそうにしてるだいきはじめてみました!本当に信頼されてるんですね」


信頼?

私が?


私が黙っていると
ゆかちゃんは
遠くをみて言った。


「私まけたくないです」

「え?」

「かなみさんに」

私はびっくりして
ゆかちゃんをみつめる。
ゆかちゃんは
真顔でどこか泣きそうな顔でいった。


「だいきに信頼されたいんです。かなみさんみたいに信頼されたい」


こぶしを握りしめて
語るゆかちゃん。
泣きそうになってるのを
必死でこらえてるゆかちゃんに
何も声がかけられなかった。
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