若き店主と囚われの薔薇


ひとりでなんて、どうやって進めばいいの。

どこへ行くのが正解なの?


わからなくて、クエイトの名前を必死に叫ぶ。

消えないで、愛しいひと。


私を置いて、いかないで。



「…………っ!」


ばちりと目を開けると、もう見慣れたテントの天井が見えた。

ハァハァと懸命に息をする。

嫌な汗をかいていて、気持ちが悪い。

私の隣で、テンが静かに眠っている。


「……………」


私は。

私は………


他の子供達の寝息が聞こえる中、身体を起こして、テントの出入り口に目を向ける。

まだ外は真っ暗だ。



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