ウソ
十歳年下の恋人に鋭い目を向ける。

「言ったじゃない、好きって」

「言ってない。興味があるって言ったんだ。凄く綺麗だから。こんな美人見たことないってくらい目を惹いたから」

「初めて声かけられた時は、そうだったかもしれない。でも」

「でしょ?由梨子(ゆりこ)さんに逢って、そう思わない人なんていないじゃん。だからぁ」

学生服姿の彼は宥めるように私の頭を撫でる。



ここは母校の校庭裏だった。
誰も知らない。秘めた場所。

呼び出したのは私だった。メールで。
十回連続でデートの約束を断らた。

――逢いたいの。
――駄目。今日バイト。

返事は、感情をスッパリ切り捨てる。
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