脳内スコップ
ボクウタ
『エリカ』

これが私の名前。

普通の人は私をこう呼ぶ。

『チョコ』

私が知らない男に呼ばれる名前。

私が嫌いな名前でもある。

中学を卒業してから私は

高校に行かないで

バイトに明け暮れてた。

バイト先では良い子のエリカ。

家でも家族思いのエリカ。

男に買われる時は我儘なチョコ。

段々、自分が誰だか分からなくなってきた。


「やったぁ。君みたいな可愛い子でオジサン嬉しいよ」
「ありがとうございます」

頬に汗を滴らした中年の親父が私に言う。
お決まりのセリフ。

お帰りの行為。

今日もお決まりで終わる。

行為が終わってホテルを出る。

いつもと同じ。

「今日はいつもより気持ちよかったから、六万あげるよ」
「ありがとう。また呼んでくださいね」

男の車に乗って駅前に向かう。

この後は、援交仲間のナナと合流。

スタバに着くとナナがいた。

「も~、エリカってば遅い~」
「ゴメン~客イくの遅くてさ~」
「マジか~。てゆうか今日いくらだった?」
「今日は六万だったよ~」
「いいな~。ウチ三万だった~」

私が援交をしてるっていう事は

ナナと親友の紗輝しか知らない。

「あ、メールだぁ」
ナナがケータイを開きながら言う。

「客?」

すると、ナナはニヤつきながら私に画面を見せてきた。


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