たっぷりのカフェラテをあなたと
「まだ……彼とは付き合ってるの?」

 当然これは浩介との事だろう。だから私は力なく「はい」とだけ答えた。

「そうか、じゃあピルは大事だね。処方しておくから血液検査だけして帰ってね」

「……はい、ありがとうございました」

 診察は順調に終わった。
 健吾さんは姉の事は何も言わない。


 姉は……婚約までしていた健吾さんを裏切って二股をかけていた。
 派手なのが好きで医者である健吾さんは優良株だと言っていたのに……ITだか何だか知らないけど。
 随分羽振りのいい仕事をしているビジネスマンにコロッと寝返った。

 当然健吾さんは姉を思い出したくないぐらい憎んだだろうと思う。

 でも……彼のムードにその陰なものは感じなかった。
 私には関係の無い事だと割り切れる大人なんだろうか。

 私は姉を許せなかった……自分が今似たように異性に苦しめられているから。

 だから余計にそう思うのかもしれない。
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