たっぷりのカフェラテをあなたと
「抱き合えたら……楽なのにね」

 健吾さんがポツリとそう言った。

「うん……」

 私も彼の手をギュッと握りながら……その思いにシンクロしていた。


 もう一度別の愛を育てたい。

 今まで抱えていたつらい思いを全て覆すような幸せを得たい。

 でも……それでも……私たちの心には、憎くて……憎くて……でも誰とも比べようがないほど愛しい人がいる。

 切なくて泣きそうになる。

(恋愛って何でこんなに魅力的で……残酷なんだろう)

 こうしてこの日……私たちは、夜のカラオケボックスで、忘れられない数時間を過ごしたのだった――――。
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