たっぷりのカフェラテをあなたと
2.切なさと雨と……
 次の日……外は雨らしい。秋の雨はどことなく切なくて、感傷にひたるには十分な演出をしてくれる。

「あー……もう10時だ」

 のっそりとベッドから起き上がる。
 休日だからといって、この時間に起きるのは問題だと自分でも分かっている。

 浩介に抱かれた次の日は微熱が出るほど体がだるくなる。
 彼が全く避妊に協力してくれないから、婦人科からピルをもらっていて……それが体温を高くしているんだろう。
 多分少し太ったのも薬の副作用なのかなって思っている。
 でもこれを止めたら絶対あってはいけない悲劇が起きるのかと思うと、怖くてやめられない。
 
女っていうのは本当に複雑で不便な生き物だ。

「絵里―、まだ寝てるの?」

 階下で母が心配そうに声をかけてきた。私がここ半年ほど元気がないのを心配しているのは私も分かっている。
 自分でも分からないのだ……どうしてこんなに生きるのが苦しいのか。20代の頃は自分の美貌に執着して、それをクリア出来ている達成感でイキイキしていたように思う。
 今だって別に急に衰えが目についているわけでもないけど、30歳になって、私は自分がどこへ向かっていいのか……迷子になってしまった。

「今降りるよ」

 なるべく顔色が悪くないように軽くファンデーションを塗って、居間に顔を出した。
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