はなおの縁ー双葉編ー

ふたつ

観音様で、二人は参拝をした。

こんなことがこれからもできたらいいのに、とお願いはしなかったけれど、思っていた。

「何かお願いしたのかな?」

彼は覗き込む。

「う~ん、内緒です。」

そう言っておいた。彼は時計を見て、

「ああ、もう4時を過ぎている。そろそろ、戻ろう。」

と促した。

そして、

「君の家の近くに扇屋っていう甘味やがあるだろ?ちょっと行きませんか?下宿のおばさんから柏餅買うのを頼まれてて。」

「あ、はい。いいですよ。あたしが一緒に行けばまけてくれますから。」

それから、しばらく、とりとめのない話を二人でしながら、扇屋まで歩いた。

店の戸を開け、

「ごめんくださ~い。」

といつものようにあいさつをした。
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