はなおの縁ー双葉編ー
其の六 試験週間 2

ひとつ

平日は学校の授業が終わってから扇やへ直行した。

行くと、すでに佐脇さんは大概来ていて、あたしを待つ間、自分も自身の勉強をしていた。

どんな本なのか少し興味があったので読ませてもらったが、頭がクラクラしそうな専門知識の用語を洪水のように浴びて、何がなんだかさっぱり分からなかった。

それを、彼に話したら、笑って、君も勉強すればこんなのすぐついていけるよ、と言った。

ほんとかしら?



あの日の夜の出来事にはお互い一切触れずにきている。

今日は週末、土曜日で、物理の大詰めに差し掛かっていた。

二人とも、今の状況がよくわかっていたので、あえて何も言わなかったのだ。

それに、あの時、試験が終わってから話をしようと彼は言った。

彼は約束をきちんと守る人だ。

だから、きっとうやむやになんかしない、そう確信があった。

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