はなおの縁ー双葉編ー

ふたつ

翌日、最後の追い込みをするからと親に言っておいて身支度をしていると、兄の林太郎が襖越しに声を掛けてきた。

「どうぞ、兄さん。」

と声を掛け、入るよう促した。

「なに?兄さん。」

と努めて気取られないように聞いた。

「今日も扇やへか?」

いつになくむっすりとしている。

こういうときはきまって、雲行きが怪しくなるのが兄の常だ。

「そうよ、どうして?」

「噂が耳に入ったんだが、おまえと佐脇がきぬたやへ入ったと。どうなんだ」

じろりとにらむ。

その手には乗るかと、

「噂に踊らされてるなんて兄さんらしくないわね。」

時計を見れば10時を過ぎている。
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