GORIO-ゴリオ-
ゴリオ
今から私は告白する。

この目の前の

幼なじみのゴリオに。



「お願いします、ゴリオ君私と付き合って下さい」


人気の無い夕暮れの教室で、ラグビー部が練習をしているグラウンドを見下ろしながら、私は幼なじみのゴリオに告白した。


『誰がゴリオだ…、っつーかその前にグラウンド見ながら告白するってどういう事だ』


せめて目を見て告白するのが礼儀だろうと、ゴリオが文句を述べている。

分かってるわ、私だって。

告白するならちゃんと相手と向き合って、目を見つめて真摯に交際を申し込むべきだ。

だけど、出来ない。

ゴリオの目を見つめて告白するなんて、私には出来ない。

それは…


『美紀に後ろ暗い気持ちがあるからだろう?』


ギクッ!

人の心を探るようなゴリオの低い声が教室に響く。


『どうせまたくだらない劣等感に苛まれて、アレコレ悩んで焦ってんだろ?』


ギクギクッ!

私の心の内を見透かすように、ゴリオの低くて野太い声が鼓膜を震わせた。

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