17-甘い君たち-
Epilogue. 青くて甘い君たちへ
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パタンと、色あせたアルバムを閉じる。そしたら隣に座っていた尋が、大きなあくびをした。
「朝から思い出に浸りすぎ。コーヒー冷めちゃっただろ」
「ごめんごめん、今から飲むから」
ぬるくなったカップを両手で持ち上げながら、彼の横顔を見つめる。
あの頃と変わってないなあ、と。
綺麗な顎のライン。耳までかかる、大人っぽい茶髪の髪。
「……なに見てんだよ」
「えっ、見てない見てない」
「嘘つけ、ぜってー見てた。コラ、逃げんな」
「もー、尋ってばくるしい、離して」
「ヤダ、離さない。」
面白そうに、逃げようとした私を後ろから抱きしめた尋のぬくもりを全身で感じる。ああ好きだなあと思う。
庭に咲いた大きな向日葵がちょうど窓越しに見えて、ハッとする。急いで尋を引き剥がすと、不服そうに唇を尖らせた。
「もー、今日は翔太が彼女連れてくる日でしょ! 早く準備しなきゃ」
「なんだよ、アルバム見てて準備してなかったのは南緒だろ」
「まあまあ、それは置いといて。」
_______ピンポーン
高らかに鳴ったインターホンの音に、2人とも思わず頬が緩んだ。