17-甘い君たち-
Story4. 再スタートの始め方
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ガチャリと開かれた南緒の家の扉。
陽気に出てきたのは南緒ではなくて。
「あら?翔太と尋じゃなーい。
南緒ならさっき出て行ったわよ?てっきり一緒に行ったんだと思ってたけど…」
小さい頃から面倒を見てもらってたんだから、南緒の母親と俺らはそれなりに仲良しだ。
ていうか、南緒のかあさんは俺らのことがすごくお気に入りだし、な。
「そうですか……」
「なあにー、置いてかれるなんて珍しいわねえ? 喧嘩でもしたの? 南緒の様子、ちょっとおかしかったわよ。」
南緒の母さんが困ったように笑うから、俺らもにこりと笑うことしかできなかった。
「……まあ、そんなもんかな」
いつも朝からハイテンションの尋の声のトーンは驚くほどに低かった。
しょうがないだろ。だって、俺らは生まれて初めて、南緒に拒絶されてるんだ。