【短編】ショートメッセージ
それから、私と見知らぬ彼とのメールの日々が始まった。

彼は、ユキトと名乗っていた。

もちろん、本名かどうかは解らない。しかし、そんなことは関係なかった。呼び名があれば、それで充分だった。

朝になれば、おはよう、とユキトからのメールが来るのがお決まりだった。私はもれなく、その他愛ない内容のメールに答えていた。

彼は、まだ二十歳にも満たない学生で、自分は社会人7年目のOLだ。そんなアンバランスな二人だというのに、彼はマメにメールをよこしてくる。

もちろん、仕事中はメールはできないが、仕事終わりにメールをすると、待ってましたと言わんばかりにすぐに返信が来るのだ。

それが、普通に嬉しかった。

自分だけに人の反応がすぐに返って来るということに、私は救われていた。



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