河の流れは絶えず~和泉編~

いつつ

「さ、次は君も入れる店だよ。ゆっくり見るといいよ、行こう。」

そう言いながら、さりげなく彼女の体に触れる。

指先が痺れそうだ。

すると、遠くで雷が鳴り出した。

「あっ、雷!」

そう言った彼女の足がぴたっと止まった。

見れば、顔が引き攣りだしている。

「え、夏葉ちゃん、どうしたの?、、、あ、雷、怖いのか?」

と茶化してみれば、

「はい、実はきらいなんです。家の中では大丈夫なんですけど、外では、、、。」

とおぼつかない視線をあちこちに彷徨わせている。

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