河の流れは絶えず~和泉編~
其の伍 はなおの縁

ひとつ

茶店の腰掛から立ち上がり、二人は本堂まで歩いて行った。

参拝をしようということになり、本堂の前で参拝した。

「何かお願いしたのかな?」

ちょっと聞いてみた。

「う~ん、内緒です。」

おきゃんな彼女がそこにいた。

その表情がかわいかった。

ふと、時計を見て驚いた。

「ああ、もう4時を過ぎている。そろそろ、戻ろう。」

と彼女を帰り道に誘った。

「君の家の近くに扇屋っていう甘味やがあるだろ?ちょっと行きませんか?下宿のおばさんから柏餅買うのを頼まれてて。」

「あ、はい。いいですよ。あたしが一緒に行けばまけてくれますから。」

ふ~ん、知り合いなのか。

しばらく、とりとめのない話を二人でしながら、扇屋まで歩いた。
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