妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
第六章
 それからしばらくは、高熱が出たりしてよく覚えていないが、常にそはや丸が傍にいて、世話をしてくれていた。
 ようやく起き上がれるようになったのは、七日ほども経った頃だろうか。

 が、その日も呉羽は、朝起きて顔を洗うと、そはや丸が朝餉を持ってくる前に、こそこそと衾に潜り込んだ。

 呉羽が衾に滑り込んだ直後、そはや丸が器を手に入ってくる。
 どかっと枕元に座り、横に器を置くと、そろ、と衾に手をかけた。
 ちらりと、顔にかかった衾をめくられるのを感じたが、呉羽は目を瞑ったまま動かない。

「・・・・・・おいこら」

 低い声が落ちてくる。

「寝たふりしてんじゃねーよ」

 ぱち、と目を開け、呉羽はそろりと、そはや丸を見上げた。
 枕元に座ったそはや丸が、見下ろしている。

「・・・・・・何でわかった?」

「顔洗っただろうが」

「ばれてたか」

 言いながら、呉羽は勢いをつけて上体を起こした。
 その瞬間、あいた、と呟いて背を丸め、また痛た、と顔をしかめて横倒しに手を付いた。
 あまり動くと、まだ傷が引き攣れる。
< 90 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop