小悪魔ちゃん
おまけ

私が小悪魔と呼ばれた日

桃奈side

――高校一年――


「だから、さっきから言ってんでしょ!
アンタ、あたしの彼氏誘惑したでしょ!」

「……だから、さっきから言ってるでしょ。
あなたの彼氏なんて知らない」


見たこともない。

名前も知らない。

……なのに、どうしてこんなことに。


誰もいない空き教室。

あたしに迫る、ケバい化粧をした女子。

そしてまるでその女子の家来のようにそばであたしを睨み付ける二人の女子。


合計、三人。


あたしは今、絡まれている。


「しらばっくれるのもいい加減にしなさいよ!」


しらばっくれるも何も、知らないものは知らないのに……。


「……はぁ」


小さくため息をつく。

こんなこと……別に初めてじゃない。


名前も知らない男子があたしを好きになって、その男子の彼女がキレてあたしのところへ……。


そんなの、もう何度目だろう。


……誘惑なんて一切してないのに。

何でそんな風に思われちゃうんだろう……。


あたしが想ってる人は……ただ一人なのに。
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