初めての……
初めての……
大学時代の友人に初詣に行こうと誘われた。

遠距離恋愛中の私は、元日にも彼氏に逢えない。
運がないのは、雪で新幹線が動かないという災厄に見舞われた彼の方なのだけど。

というわけで、私は大学時代の友人四人と初詣に行く。

大きな鳥居をくぐると犇めくような人だかり。
私達は順に並び、自分達の番が来ると、二礼二拝一礼。型通りに賽銭を投げて、思い思いに祈った。

私の願いは、彼に早く逢えますように。いつも彼の側にいられますように。

御神籤を引いて、籤を読んで枝に結ぶ。今年の彼との関係を暗示するような、末吉。
――待ち人来たらず。
……わかってますよ、彼は今日私に逢いに来ない。
新幹線の中で毛布にくるまって震えているのだから。

参拝を終えて私達は、その帰り道、ひとつも飲食店が開いていないことに愕然とする。
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