ひな*恋
童顔は男に縁もありません!
「はぁい、80円のお返しでーす」



レジ袋に包んだ惣菜をお客さんに渡すと、私は笑顔でお客さんを見送った。



「ありがとうございます。またお越し下さいませ~」






「んまぁ、ヒナちゃん。相変わらず接客が上手ねぇ」



そんな私の背後から声をかけたのは、このデパ地下にある惣菜屋さん“デリカ·popo(ポポ)”に勤める副店長の小山さんだ。



この午後からの出勤で来ている惣菜屋さんは、惣菜を作る所から陳列、接客販売まで全部がお仕事。


私だって奥で揚げ物や炒め物をする事はあるけれど、その殆どは接客販売の担当になる事の方が多い。



「ヒナちゃんが来てから、お客さん増えてるのよ?もぉ看板娘ね」



「またそんなぁ」



勤めている他の従業員はみんな中年のおばちゃんばかり。

そんなわけもあって、若い人が前に出た方がいいと私がレジをする事が多いわけだ。


そしてやっぱり私の童顔のせいで、すっかりおばちゃんには「ヒナちゃん」なんて呼ばれて完全に子ども扱い。


普通28の社会人に、名前にちゃん付けで呼ばないもんね。





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