曼珠沙華
第十章 赤い涙


何もする事のない
休日


朝から
何も食べず
食卓に座る


何を見る訳でもなく
虚ろな視線を落とし
用意された握り飯を
ただ 眺めていた


小言を呟いていた母が
溜息を漏らし
食卓の椅子に座る


「何か あったの?」


ただ一言


「別に」


そう答える事が
最善な気がした


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