気づかないわけがない。知らないわけがない。

 だって、そう、あまりにもわかりやすいから。

 それなのに、あまりにも切り離しているから。

 だから、気がつかない振りをするわけではないけれど、少し逸れたところに気持ちを追いやる。

「わかって欲しいわけじゃ、ないのか」

 私は視線を落としながら呟く。

「何の話ですか?」

 後ろから振りかかる声に、振り向いた。

「あなたのこと」

「え?」

 間の抜けたような声。もう何度も聞いた。

「ウソ。ちょっと、ね。そう、関係ないこと」

 私の言葉に、はあ、と頷いて隣に座る姿は、何だか少し愛しい。

 そんなに切り離さなくてもいいじゃない、と、思うけど、そんなところがいいとも思う。

 仕事と自分の気持ちを別々に考えられるのは羨ましい。

「そのうち、話すかもね」

 私が言うと、また、はあ、と頷いた。

 その時は、切り離して考えられないようにしてやろう。

 少しだけ意地悪な笑顔を見せた。