あの頃のように
2014年12月
 * * *


「お父さんは、NAL社員だったのか――」


俺は呆然と繰り返してた。


「……リストラされたの? お父さんは」

「ううん」


沙稀は小さく首を横に振った。


「違うの。ずいぶん前に病気で辞めたの。

だから、あの企業再生時にリストラされた2万人には入ってない。

企業年金は3分の2に減らされちゃったけどね」

「……」

「別にそこは“NALの経営危機だからしょうがない”なんて言って、文句は言ってなかった。

もともと国営あがりの放漫経営体質が、NALはなかなか抜けてないから、って。

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