あの頃のように
すぐそばで聞こえる規則正しい寝息。


暗がりに少し慣れてきた目に映る、こっちに背を向ける細い肩。

うっすらと、パジャマの模様が見える。


(今日で何日めだっけ――沙稀が来てから)


――5日目か。


ただ、何ごともなく、夜寝て朝起きて、仕事へ向かう日々。

交わす言葉も必要最小限だけ。


「……」


ひと組の男女が同じベッドで寝ていて、何も起こらなかった最長記録ってどれぐらいなんだろうな。

俺はどこか捨て鉢に考えた。


(……クソッ)

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